はい、お名前と学籍番号と…あ、そこに内定先の企業名を…はい。
これでいいですか?
えーっと…はい!オッケーです!就職活動お疲れ様でしたー!
あ、はい。ありがとうございます。それじゃ…
はーい。
すみませーん。内定報告ってここですればいいんですか?
あっ、はい!こちらの用紙にですね…
ふー、やっと一息入れられる。
あ、Aさん!またまた内定報告ですよ!この時期になって、滑り込みで内定獲得した学生さんが増えてきましたねー。例年よりも多いような?私の啓蒙活動がついに実を結んで…
そこまで関係無いと思うよ。
ゆっくり霊夢はFランク大学の就職課に就職したようです【第63話】
※このサイトの記事は【Fラン大学就職チャンネル】の動画から引用・参考にして作られています。
あ、やっぱり。
有効求人倍率は43年ぶりの高水準。どっからどう見ても売り手市場だからね。
やっぱり売り手市場の力なんですねぇ…。
そりゃそうでしょ。うちの大学ですら就職率が上昇してるんだから、凄いよね。
“すら”って…。でも最近気づいたんですけど、学生たちが内定を取ってくる業界、何か凄く偏ってませんか?
飲食、小売、介護、建設、製造?
あ!そうそう!その辺りが多いです。
そりゃ、今まさに人手不足なのがその業界だからね。
あー、言われてみればそういうイメージはあります…。
厚生労働省の労働市場分析レポート「平成28年の求人倍率概要」を見れば分かるよ。正社員の新規求人数が前年よりも0.1%以上伸びている産業をグラフにしたのがこれ。このグラフを見ると、今一番人手を欲しがっているのはやっぱり医療、福祉。次に建設や製造、卸売、小売かな。
あー…。
一番下の「その他」っていうのは、ここに載ってない産業の合計値ね。
医療、福祉ってこんなに毎年求人数が伸びてるんですね…。
注意が必要なのは、これはあくまで産業であって、職種ではないってことね。同じ産業内でも様々な職種があるから、職種によって需給は違うよ。別に人手不足じゃない産業や職種だってあるから、そういう就職を目指す学生にとって、実は世間で言われるほど売り手市場って関係無いんだよね。
テレビとかで売り手市場売り手市場言われてますけど、冷静に考えてみたらそうですよね…。売り手市場というのはあくまで全体の話であって、業職種を個別に見れば人手不足とは無縁のところもあるってことですね。
そう。今必死なのは、人手不足だったり、内定を蹴られて競合他社に学生を取られる可能性の高い企業。そういう企業は例年よりも2倍や3倍内定出しちゃってたりするよ。内定蹴られることを計算してね。囲い込みも超必死。そういう意味で、うちの学生達にとっては結構チャンスだね。就職するだけなら。
で、でも、うちの大学の実質就職率は100%に程遠いですよね…。
それも考えてみたら当たり前。能力的にかなりヤバイ学生、ビビって就職活動をやらない学生、メンタルやられて就職活動を止めてしまう学生、いつまでも無限の可能性を模索して自滅する学生、実力相応の仕事を受け入れられない学生、単位が足らなくて就職活動に集中できない学生。これらは毎年一定数いるんだから。そういうのでもなければ、今の大学生は仕事さえ選ばなければ就職難になんてならないよ。
そ、それはいいですけど、大丈夫なんですかね?
何が?
そのー…、労働条件とか?
就職のためのハードルが高い例を除けば、労働内容に対して条件が良かったら人手不足になんてならないよ。特にこれだけ情報がオープンになってる現代では。
えぇ~!!
それに、人が辞めるから人手不足なんだし。
それは確かに…。
でもほら、職業に貴賎は無いから。
それはそうですけど…。でもでも、せっかくの売り手市場なんですから、学生さんの理想に近い企業に就職出来たらいいなぁ~って…。
普通のFラン大生じゃ無理。
何でですか!?
売り手市場とか関係無く、人気企業の内定は相変わらず奪い合いだよ。多少は採用枠が大きくなってることもあるだろうけど、そこまで簡単になっているわけでもない。
そ、そうなんですか…?
就職四季報で上位企業の採用数の推移を確認してみればいいじゃん。そんな大きく変わってない企業が大半だから。それなのに、うちの学生は「売り手市場」って聞いて油断してるわけで。元々厳しいのに更に厳しいよ。
油断しやすい環境のせいで不幸になる可能性もあるってことですね。
そういうこと。相変わらず就職活動を始める時期も遅いしね。いやむしろ、うちの学生の就職活動開始は遅くなってるくらいかも。
完全に油断してますね…。
実力無い上に油断って凄いよね。
言い方言い方。
そもそも、仮にチャンスが広がってるとしても、チャンスなんてチャレンジする人間のものでしょ。春~夏にESも出さないうちの学生達に何の意味が。
確かに、そういう根本的な部分から意識改革が必要ですよね。
改革ねぇ。彼ら上を目指すって発想無いと思うんだけど。
それはやってみないと分からな…う、う~ん…。
まともな大学生にとって、今の就職活動って、「就職できるかどうか」の戦いじゃなくて「希望に近い就職ができるかどうか」の戦いになってるんだよね。うちの学生は志から負けてるわけ。さすがに志は教えてどうにかなるようなもんじゃないでしょ。まぁ選ばなければどこかしら内定は得られるだろうし、大学の就職率だけ考えると、俺は正直何でもいいんだけどね。
じゃあ、今の売り手市場って学生によっては無意味なんですか?
上位企業に就職したい3年生にとって意味があるとしたら、本命企業の選考が本格化する春~夏より前に滑り止め企業の内定を取りやすいってことくらいじゃない?
なるほど。いざという時の保険を作りやすいってことですね。
上を目指す学生にとってはね。あ、ちなみにさっき言った業界の求人なら既卒でも増えまくってるからね。チャンスだよ。
誰に言ってるんですか?
続く。
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