A社とB社は落ちちゃったんだ…。
……。
A社とB社は落ちちゃったんだ…。
……。
で、でも、書類選考は通ったわけだし、一歩前進だと思うよ。次も頑張っていこう。
いや、もういいんで。就活止めます。
ええええ!?なんで!??
親からも、在学中の就職が厳しいなら卒業してからでもいいって言われてるんで。
でも、この前就活を始めたばっかりじゃない…。
落選したのも数社だし、そんなに気落ちすることはないよ。
いや、別に気落ちとかしてないですから!!
あ、ごめんなさい…。
ゆっくり霊夢はFランク大学の就職課に就職したようです【第35話】
※このサイトの記事は【Fラン大学就職チャンネル】の動画から引用・参考にして作られています。
実は俺、他にやりたいことあるんですよね。別に最初から民間への就職に拘ってないんで。
え、そうなの?初めて聞いたけど…。
で、でもまだ求人あるし、新卒のうちにとりあえず就職しておいたほうが…。
いや、もういいです本当に。
あと、やっぱり訳の分からないルールで競争させられる日本の就活はおかしいですから。やってられないですよ。
あ…えーっと、うーん…。
それじゃ。
あっ!待ってー!
……。
(学生いなくなる)
Jさんも何か言ってくれれば良かったじゃないですか!
……。
彼は、ちょっと難しいね。
え…。
どういうことですか。難しいって…。
いつも言ってるでしょ。うちの学生が全員就職出来るわけじゃないって。
で、でも彼はまだ分からないじゃないですか。受け答えも普通に出来ますし、何ならちょっと弁が立つくらいですよ!?
今からだって本気で取り組めばどこか決まりますよ絶対。
まずやらない、と言うかやれない。
だ、だから、なんでですか!?
幼児的万能感が強く残りすぎてる。
なんですかそれ…。
小さい頃に、アニメに影響されて、手からビームが出たり、ヒーローに変身出来ると思ったりした時期ってあったでしょ。
もうあんまり覚えてないですけど、小さい子ってそんな感じですよね。
でも、成長していくにつれて、手からビームは出ない、ヒーローには変身出来ないことが分かる。
分かるに決まってるじゃないですか。
さらに歳を取れば、周囲との比較で相対的な自分を知るようになる。
自分の能力や特性から、現実的に出来ること、出来ないことの判断が大よそつくようになる。
客観的に優れているという事実が無いのなら、自分を特別視しなくなるし、世界が自分中心に回っていないことにも気づく。
ま、まぁそれも普通ですよね…。
その能力が年齢相応に成長してない学生がいるってこと。まぁ、発達障害の一種だよ。
は、発達障害!?
そんな驚くほどでもないでしょ。完璧に生まれて完璧に育つ人のほうが少ないんだから、発達障害の1つや2つくらい。
そ、そうなんですか…?
これは改善するね。人により程度の差はあるけど、それなりの年齢の大人にも珍しくない症状だよ。
良かったです…。
いや、あの学生は厳しいかもしれないけど。
うう…。
話を戻すけど、大学生くらいになると、それまでの人生で周囲と比較されることの一度や二度経験してるはずだよね。
例えば、受験なんてその最たるもの。嫌でも結果が出るし、優劣がハッキリする。学校の定期テストもそうだし、部活ならレギュラー争いや他校との試合もそう。実は、こういう他人と自分を比較する経験って、客観的な自分を知るために必要なんだよ。
本来は、こういう経験を通じて歳とともに万能感が薄れていくんだけど、それをあまり経験せず育った人には色濃く残っちゃうんだよね。
ちょ、ちょっと待ってください。うちの学生だって部活や定期試験、受験は経験してきたんじゃないですか?
そうだね。うちにも人並みにそういう経験をして、普通の成長過程を辿ってきた学生はいるよ。ただ、最初から競争を降り続けてきた学生も多い。
特に学業。定期試験は最初から勉強しない。大学は行けるところに行く。そんな学生が多いわけ。努力した結果ならともかく、努力しなかった結果で他人と優劣がついても本人は自己を省みたりしない。君も知ってる通り、この大学には「受験競争に負けてFラン大学に来た」って認識の学生より「とりあえず適当に大学に来た」って学生の方が多い。
うっ…。確かにそうでした。
この大学には、本気の競争をしたことがない学生がとても多いんだよ。こういう学生の何が問題か。まず1つ目は、自分の客観的評価を知るのを人一倍恐れたり、評価が低いと激しく傷ついたり、キレたりすること。
幼児期特有の自己の特別視が抜け切ってないから、客観的評価への耐性が極端に無い。つまり、打たれ弱すぎる。就職活動って、合・否がハッキリするでしょ。
それはそうですよね。仕方ないですよ…。
こういう学生は、落選が続くと取り乱したり、凄い落ち込み方するんだよね。
ああ…それは見たことありますね。でも、私だって落選が続いたら少なからずショックですよ。
ショックなのは誰でもそう。でも、彼みたいに数社に落選しただけで就活そのものを止めてしまうとか、結果が出ないことが怖すぎて就活をやりもしないとか、そうはならないでしょ。
そ、それは流石に無いかもしれないです…。
長い間主観で肥大化した自分像と、客観的評価のギャップが大きくなりすぎるとそうなる。
ああ……。
まぁ、現実にショックを受けて、自己改善に励むなら建設的なんだけどね。なかなかそうはならない。
え!?
それが問題の2つ目。失敗や挫折から学びを得にくい。本来、失敗や挫折は自己を客観視して改善するために必要な経験なんだけど、自己が肥大化しすぎると、この失敗・挫折を正面から認めることが出来ない。
「失敗ではない」「本気を出していない」「そもそも周囲がおかしい」と考えて、正しい原因を考えられなくなっちゃうってこと。実際、面接やグループディスカッションの指導をしてると異常なヒステリーを起こしたり、凄まじい落ち込み方する学生っているでしょ。
い、いますね…。
でもそういう学生って、怒ったり凹んだりはしても、あんまり話自体は聞き入れてない。
はい…。
実は、ただ傷ついたと思ってるだけで、失敗や挫折を受け入れてるわけじゃない。だから自己改善のペースが滅茶苦茶遅いでしょ?
子供みたいに、ずっとムスーっとしてる学生さんとかいますよね。
そういう学生が就活を少しやると、さっき言ったように就活そのものを止めちゃう可能性がある。中には、彼みたいに自己肯定のために別の道を探る学生もいるんだけど、準備も計画も無いから大体突拍子もないことを言うんだよね。
それ以外の学生は引きこもったり、転学したり、まぁ色々。勿論、就活で目が覚めて頑張る学生もいるけどね。
今までは何でだろうって思ってました…。
まぁ自己防衛の一種だね。3つ目の問題は、日頃何の努力もしていないのに、どんなに追い込まれた状況、非現実的な目標でも「ガチればいける」と思い込みがちなこと。これも、自己の特別視(客観性の欠如)から来る考え方。
現在本気を出せていない自分を客観的に見れていないし、将来の自分が本気を出すと主観的に信じてる。確かに、夏休みの課題やうちの大学レベルの試験なら追い込まれてからでも間に合うけど、就活にも同じようなノリで取り組むから大体失敗してる。
それは例年かなりありますよね…。
まぁ、中にはある日から猛烈に努力出来る人もいるけどね。でも自分の特性って、本気の努力やその結果などの経験から理解するものでしょ。その経験すら無い人が、いつまでも自分は「やろうと思えば出来る」と思い込んでたりする。根拠無いんだよね。
直前に取り組むだけでクリア出来る程度の課題しかやってこなかった学生は「自分は追い込まれたら出来る」と勘違いしがち。だから、うちの学生達は少しハードルの高い課題にガンガン潰されていく。
これって、何が原因でそうなっちゃうんでしょうか…。
諸説あるけど、一説によると家庭環境みたい。子供の欲求を何でも満たすような環境だったり、逆に極端に愛情を注がずに育てるとそうなるとか。
それに加えて、本気の競争などを経験せずに育つと、いつまでも幼児期の万能感が残ったままになってしまうってことかな。でも、そんなにシンプルで分かりやすい原因は無くて、様々な要因が絡み合った結果だと思うよ。
単純な話ではなさそうですよね。
幼児的万能感は幼少期から誰しも持っていて、これが無いと様々なことに積極的になれない。車で言えばアクセルみたいなものだね。
アクセルは大事だけど、本来は成長過程でブレーキの踏み方やハンドルの捌き方、状況判断、乗ってる車の特性も覚えるはずなんだよ。そういう成長が出来なかった学生の一例がさっきの彼だね。
でも、あんまり客観客観って言って学生を自信喪失させても良くないのでは?
たまに、異常に自信が無かったり、自己評価の低すぎる学生っているけどさ、それも客観性の無さの表れだよ。大体の学生は、そこまで酷い自信喪失になるほど悪くも無いし、自信過剰になるほど良くも無い。
まぁ確かにそうですよね。
ベンチマークになる経験が少ないから自己評価が両極端になるし、客観的評価に対して過剰反応、一喜一憂することになる。むしろ、勝負所で自信喪失しないために自分の客観的な実力を知っておかないといけないと思うけど。
確かに、身の程を知らないことが行動力に繋がることもあるし、人間は自分のことを100%客観視出来るもんじゃないけど、少なくとも万能感が強く残ってて良いことは多くないと思うよ。こういう実情を知らずに、学生の進路選択の多様化を肯定的に見る人達っているけど、建設的なものと、幼児的万能感からくる逃避行動は分けて考えて欲しいね。
まぁこればっかりは、現場を見ないと分からないと思いますけどね。それにしても、嫌な話しかしないJさんの話の中でも特に嫌な話ですね…。
まぁ、冒頭でも言ったけど改善するよこれ。
あ、そうでしたね!
改善させる気があれば、だけど。
自分の努力の結果がハッキリ分かるような活動を避けたり、結果を正面から受け止めないからそういう精神構造になるわけでしょ。その逆をやればいいんだよ。そんな活動沢山あるでしょ。
ま、まぁ色々ありますよね。
やればいいんだよ。本気で努力した経験の無い人ほど客観性に乏しくて自己が肥大化していくんだから。日常ベースで変えていくなら、自分が将来極端な努力をすることを妄想するんじゃなくて、まずは今小さい努力をすること。
次にその小さい努力を継続すること。そして小さい努力を少しづつ大きくしていくこと。かな。取り組み内容は、自分の現在の実力が数字や実績でハッキリと分かるものが好ましい。客観に徹するのがポイント。
そうは言いますけど、なかなか取り組めるものじゃないのでは?
だから「改善させる気があれば」って言ってるでしょ。こういう指摘をされて身に覚えがあると思う人は改善する可能性がかなり高い。
一番ヤバいのは、自覚すら出来ない人だね。そういう人はさすがにお手上げ。40過ぎて自分は発達障害かもしれないって気づく人もいるくらいだから、別に大学生からでも遅くはないんだよね。うp主も未だにそういうところあるし。改善は出来るから、悲観的にならず上手く付き合っていくことだよね。
自覚することが第一歩ってことですか。
そういうこと。自覚しないと自分をコントロール出来ないからね。
じゃあ、さっきの学生探しに行ってきます!
(サチコ居なくなる)
え…。
言い忘れてたけど、本人に言ったら多分怒るよ。
続く。
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